ゲームメカニクスの引き出し
2019-08-13
このページは
世の中にあるゲームのメカニクス(ゲーム性、ルールの構造、ギミック)を洗い出し、整理したもの。 新しいゲームをつくる時に見返すための資料。
参考リンク
- 2012-01 ボードゲームのメカニクス - 部屋とボードゲームと私と酒と泪と男と女
- 2013-01 翻訳記事:ボードゲームメカニクス48 | スパ帝国
アナログゲームのジャンル / スキーム
代表的なジャンル
名前 | 概要 | 作品例 |
---|---|---|
アブストラクト | 抽象化された駒を扱うようなゲーム。 狭義ではオセロやチェスなどの完全情報ゲームのことを指す | オセロ / チェス / 将棋 / 囲碁 / コリドール / ブロックス |
トリックテイキング | 1 ラウンド(トリック)にカードを出し合い、一番強いカードを出した人がカードをひきとる(テイキング)ようなゲーム | ウィザード / スカルキング |
陣取り | コマやタイルを置いたり、動かしてくっつけたりして領地の拡大を目指すゲーム | Ticket to Ride / ローゼンケーニッヒ / カルカソンヌ / ブロックス |
ワーカープレイスメント | 労働者たちに仕事を割り振って収入を得るタイプのゲーム | アグリコラ / プエルトリコ / ストーンエイジ |
拡大再生産 | 資源を投資して生産力を上げ、さらに大きい資源を得る成長ゲー | アグリコラ / プエルトリコ / 宝石のきらめき |
デッキ構築 | TCG におけるデッキを作る部分をメインのゲームにしたもの。ドミニオンが有名。 | ドミニオン / アセンション |
ドラフト | カードセットの中から順番に 1 枚ずつピックしていくメカニクスがメインのゲーム | TCG のドラフト / 世界の七不思議 / ひつじとどろぼう |
交渉 | 他プレイヤーと交渉してリソースをやりとりすることがメインのゲーム | カタン / モノポリー / ボーナンザ |
競り | 競りで商品を獲得することがメインのゲーム | モダンアート / メディチ / ラー |
バースト (チキンレース) |
欲張り過ぎると失敗するのでどこで退くかを見極めるゲーム | ブラックジャック / インカの黄金 / ダンジョンオブマンダム |
バッティング | 相手とかぶると損しちゃうのでその辺の心理を読み合うゲーム | ニムト / ハゲタカのえじき |
ブラフ系 | ウソをついてうまいことやったり、それを見抜いてダウトしたりするゲーム | ブラフ / ごきぶりポーカー |
正体隠匿 | 正体を隠し、相手の正体を探り合うことが重要なゲーム | 人狼 / おじゃま者 / ブラッドバウンド / レジスタンス / クー |
発想系 / 大喜利 / 伝言ゲーム | ゲームの中の情報ではなく個人の発想力が求められるゲーム | Dixit / たほいや / ワードバスケット / キャット&チョコレート / テレストレーション |
その他のジャンル:
- ロールプレイ / ストーリーテリング / すごろく / 賭け / バランスゲーム / 物理的なアクション
プレイ人数 / チーム構成による分類
名前 | 概要 | 作品例 |
---|---|---|
1 人用(ソリティア) | 1 人だけでクリアを目指すゲーム | トランプのソリティア / シェフィ |
1 対 1 | 2 人専用の対戦ゲーム | 将棋 / バトルライン |
複数人対戦 | 全員が敵同士で、互いに 1 抜けや順位を競う形式 | (多くのボードゲーム) |
チーム戦 | 2 つ以上の陣営に分かれて戦う形式 | コードネーム / 人狼 |
1 対多(非対称型) | チーム戦の中でも、「犯人と警察たち」「魔王と勇者たち」など人数・役割に偏りを持たせたもの | スコットランドヤード |
協力型 | プレイヤーごとに役割を持って、みんなで「ゲーム自体」に勝つのを目指す | パンデミック / 禁断の島 / キャメロットを覆う影 |
勝利条件 / 小目標の種類
- より多くの勝利点を得る
- 早抜け(カードを先に使い切る、ゴールに到着するなど)
- 陣取り
- エリアマジョリティ (最もコマを多く置いているものが支配権を得る)
- 点と点をつなぐ
- 囲い込み
- セットコレクション (決められた役を作る。麻雀やポーカーの類)
- 隠されている情報を言い当てる
- 他のプレイヤーを全員脱落させる
繰り返し遊ぶ際のバリエーションの持たせ方(リプレイ性)
- 遊ぶたびに使うカード(能力、役割、商品)の組み合わせを変えられる
- ステージそのものを構築する(カルカソンヌ系)
- 会話主体のゲームにする(人狼)
アナログゲームのメカニクス
相互作用の種類
- プレイヤー同士で手札を交換
- 他のプレイヤーの手札をこっそり見る
- 他のプレイヤーの行動を制限する
- 共有の場にある有限のリソースを獲得する
- 他のプレイヤーの非公開情報を推理する
- それを惑わせるようなブラフをかける
- 投票による意思決定
- 相場・トレンドの変更
- 交渉 / 競り
ジレンマ / トレードオフのパターン
- 前提として、最適解が存在してはならない
- (少なくとも人間にわからないレベルであればよい)
- ハイリスク・ハイリターン
- A をとると B がとれない
- 3 すくみ
- リソースマネジメント
- 一点張りだと 2 種類以上確保したプレイヤーに負ける
- まんべんなく取得しても勝てない
- バースト (欲張り過ぎると失敗)
- バッティング
- 同じ考えの人がいると失敗
- プレイヤーの中で一番 xxx だと失敗
- これをやりたいけど、そうすると他のプレイヤーが有利になっちゃう
アドバンテージの種類
- より多くのリソースを得る(手札、金、資源、ライフなど)
- その結果、行動の選択肢が増える
- その結果、行動回数が増える
- より多くの情報を得る
- より多くのポテンシャルを得る
- ランダム要素に対して、成功する確率を上げる
- 相手を妨害する / 相手の妨害をブロックする
- 他プレイヤーに対して、より多くの情報を隠せる
【参考】MTG におけるアドの種類
「手番」のパターン
- ターン制
- スタートプレイヤー が移り変わるタイプのターン制
- 1 周したら 2 週目は逆順でプレイ
- 選択や手札によってそのターンの行動順が変わる
- 早い者勝ちで行動
- ターン制の手番を変えるのは、多くの場合公平性を期すためである
- (多くのゲームでは先手番をとるプレイヤーが有利になる)
「ランダム性」の生成方法
- ダイスロール(独立性のある試行)
- ダイスを n 個投げる(出る目の確率が正規分布に近づく)
- 抽選箱方式
- カードの山札
- 袋の中から取り出す
「カード」を使ったギミックやルール
- 山札(ランダム要素)
- ドラフト
- デッキ構築
- 手札
- 行動の選択肢
- 非公開情報
- 次の手番まで作戦を練られる
- 伏せる(内容を隠す)
- 横向きにする(2 値の状態をとる)
- 複数枚のカードを重ねる
コスト / 制約の種類
- コストは高いけど強力
- フードサプライ (運用コスト。毎ターン支払う系)
- n 回までできる
- 特定の条件下でのみ使える
- 特定の期間だけ使える
- 特定の組み合わせの時だけ使える
- 特定の座標にあるときに使える
- 使ったら n ターンのクールダウンが必要
- A をやると B ができなくなる
獲得 / 購入のパターン
- お金で購入、資源と交換
- 他プレイヤーとの交渉
- 競り
- つり上げ型(フリーオークション)
- 一斉入札
- 1 人 1 回ずつ入札
- 指値で入札
- ダッチオークション(時間とともに価値が下がる。早い者勝ち)
- A さんが分割して、A さんが最後にとる(平等性を保つ)
- 賭け
その他のギミック(未分類)
- コマの移動(マス目、エリア移動)
- タイルの配置
- 世代交代
ビデオゲームのメカニクス
- 基本的にアナログゲームのメカニクスはビデオゲームにも流用できる
- ただしアナログゲームの多くが多人数用のゲームであるのに対し、 ビデオゲームは 1 人用のゲームが多いことには注意
アナログゲームとの差分
- 基本的にやれることは増える
- 手作業による操作や親プレイヤーなどの役割をソフトウェアで自動化できるため、 実現性に関して言えば基本的にビデオゲームはアナログゲームの上位互換である
- 当然、視覚的なサポートや音響が使えるのも大きい
- アナログでやると難しくなるところを、ソフトウェアで自動化できる
- 複雑な計算を人間の代わりにコンピュータが行える
- 計算結果や現在値を表示できる
- 途中状態を保持するようなゲームが作りやすい
- (例えば HearthStone のミニオンの体力の管理を、アナログでやるのはしんどい)
- 「親」が必要になるようなゲームで、システムが親の肩代わりをできる
- プレイヤーへの非公開情報を自動生成できる
- (例えば自動生成のダンジョンをアナログで作るには「親」が必要)
- プレイヤーへの非公開情報を自動生成できる
シングルプレイヤーゲームの優位性
- 1 人で遊ぶゲームの場合は、対人ゲームにおけるジレンマを壊して「サービス」することもできる
- 例えば RPG で Lv. を上げまくれば無双できる / 全てのスキルを獲得できる、など。
- (対人ゲームでこれをやると時間を費やした人に勝てないゲームになってしまい、面白くない)
代表的なジャンル
- アクション
- アクションアドベンチャー(アクションRPG)
- プラットフォーマー(マリオ系・ステージ攻略型)
- ステルス
- 格闘
- ベルトスクロール(ファイナルファイト系)
- シューター
- FPS
- TPS
- 日本のシューティング(インベーダー系や弾幕もの。英語では shmup と呼ばれる)
- RPG
- JRPG
- MMORPG
- ハック&スラッシュ
- アドベンチャー
- グラフィックアドベンチャー(脱出ゲームなど)
- ミステリー
- サバイバル
- ホラー
- シミュレーション
- リソースマネジメント(SimCity など)
- ライフシミュレーション
- ファーム系
- 恋愛シミュレーション
- ペットシミュレーション
- ストラテジー
- ターンベース
- SRPG(ファイアーエムブレム系)
- RTS
- タワーディフェンス
- パズル
- ステージクリア型(倉庫番系)
- 落ちもの
- 音楽・リズム
- レース・フライト
- パーティ
- スポーツ
- アダルトゲーム
※ アクションパズルなど、実際には複数のジャンルが組み合わさったものも多い
カメラ / ゲームビューの種類
- 固定カメラ / スクロールカメラ
- 2D
- サイドビュー / トップビュー / クォータービュー
- 3D
- 一人称視点
- 三人称視点
- まさかの二人称視点(サイレンの視界ジャック)