昔ながらのブックマーク集と、Web のコンテンツの儚さについて

/ 2019-08-10

個人的なブックマーク集を整理していて、思うところがあった。

古き良きブックマーク集

少年期とインターネット黎明期が重なる時代に、僕は生まれた。 まだブログサービスなどの便利なものが少なかったいにしえの時代に、人々は手作りで「個人サイト」を作っていた。 自分のお気に入りのサイトを並べた 「リンク集」 というのは、個人サイトの定番のコンテンツのひとつだった。

現代でも、 「デザインの参考になるサイト 20 選」 だとか、 「エンジニアがチェックすべきサイト集」 みたいにリンクをまとめた Web ページはあるけれど、それらはブログや投稿サイトの一記事であることが多い。 実用的ではあるものの、なんだかビジネス的にも感じる。読者に向けてまとめられたものだからだ。

一方で個人サイトのリンク集は自分の好きなものを詰め込むことが多いので、何というか人間味があった。 本棚には持ち主の人となりが現れると言うが、リンク集も似たようなものだろう。

かくいう自分も自分用のブックマーク集を作っていて、何を隠そうこのサイトで公開している。以下が目次だ:

このようなページを手作業で整理しているのは時代に逆行するようだが、 自分は結局こうした素朴なやり方に落ち着いた。

僕のブックマークの管理方法

情報過多の時代である。自分はいわゆる IT 系な職種でもあり、日にいくつもの Web サイトを目にして新たな情報に触れる。 その中には仕事に活かせる技術情報もあれば、 なんか面白かったからいつかまた見返したい、 くらいのカジュアルなものもある。 これらをメモして整理するにあたって、自分は 「適当に階層化して、テキストファイルにメモする」 というごくごく素朴なやり方に落ち着いた。

まず、以下のようなブックマークレットを登録しておく:

javascript: var title = document.title; var url = location.href; var output = "[" + title + "](" + url +")"; var result = window.prompt("title", output);

これはページのタイトルとリンクを、Markdown 形式のテキストでプロンプト表示してくれるものだ。 例えばこのサイトのトップページで踏めば以下のようなテキストを返してくれる:

[Alto-tascal](http://tatsuya-koyama.com/)

これをコピーしてサイトのブックマーク集の然るべき場所にペーストする。実にシンプルだ。 (※ このサイトのコンテンツは Markdown のプレーンテキストで管理されている)

中には Evernote などの Web サービスを使ってメモをとっている人もいるだろうけど、 単なる Markdown のテキストファイルというのは軽やかで取り回しがしやすくて良い。 ページをまたいで検索したくなった時は手元のエディタでローカルファイルを grep する。 サイト上では検索できないが、まあ個人向けのメモなので良いのだ。

「リンク切れ」で思い出す Web の儚さ

この習慣はもう何年も続いている。おそらくこれからも続けるだろう。 僕がおじいさんになる頃にはこのブックマーク集は巨大なリストに成長し、 僕の人生の興味関心を写しとった一冊の本のようになることと思う。

それと同時に、そこには膨大な「リンク切れ」の山ができあがることだろう。

たまにこのブックマーク集を見返して思うことは、Web のリンクというものはいとも容易く切れてしまうな、ということである。 HTML のハイパーリンクは片方向リンクであり、リンクされている側はリンク元の都合など気にしない。 ページが消えたり移動したりすれば、そのリンクはすぐに無効になってしまう。

事実、今でもすでに僕のブックマーク集は多くのリンク切れを起こしているのだ。 (面倒なのでリンク切れに関しては手入れしないことにしているが)


企業が作っているような Web ページでも侮れない。 大人の事情でページの URL を移動したり、公開を停止することはよくあるからだ。 利用者の多い Web サービスも永遠ではない。 2019 年 3 月には 21 年続いた ジオシティーズ が終了するという告知があった:

これにより、多くの個人サイトがインターネット上から姿を消すことになる。 僕らが Web のコンテンツにアクセスできるのは Web サーバがデータを配信してくれているからであり、 サーバを管理する人がいなくなればそのアクセスは簡単に失われてしまうのだ。

インターネット黎明期の頃の僕は、何となく Web のコンテンツは永遠にそこにあるものと思いこんでいた。 だが実際には、いつ消えてもおかしくない儚いものだったのだ。

5 年 10 年というスパンで見れば、Web のコンテンツなど実に刹那的なものだ。

その事実を織り込んで、僕らは Web と付き合っていく必要があるだろう。

それでも作るブックマーク集

だからと言って、ブックマークを記録する習慣が無駄であるとは思っていない。 例え将来、多くのリンクが切れてしまっても 「かつてこのドメインに、こういう名前のページが存在していた」 という記録は残る。 時が経ってから振り返って、それでも生き残っているページに敬意を表したり、 消えてしまったページに哀愁を感じるのもよいだろう。

自分の思考の整理や記憶のインデックスを張るのにも役立つので、僕はこの習慣を続けていくつもりである。

いつかこのサイト自体がリンク切れになる、その時まで。